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【ネタバレあり】舞台「PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」感想【PPVV】

舞台「PSYCHO-PASSサイコパスVirtue and Vice」を観てきました!

いやもう最高だったし……最高としか言いようがない……こういうの大好きなんですわ!!わたしは東京公演は都合がつかずライブビューイングでの視聴だったんですが、どうして東京公演に行かなかったのだろうという後悔とライビュだけでも行けて本当に良かったという気持ちが混ざっています。

本当に本当によかった。毎回観劇したときに「何をもって良かったのか、良かったとは何か」というのを考えてしまうんだけど、PSYCHO-PASSを観終わった最初の感想が「観て良かった……」だから良かったんだと思う(何回言うんだ)。

先日大千秋楽を無事に終えましたので、大阪大千秋楽のようすをライビュで視聴した感想を書きます。ネタバレを含みますのでご了承ください。

公演日程

<東京> 2019年4月18日(木)〜4月30日(火・祝):日本青年館ホール
<大阪> 2019年5月3日(金・祝)〜5月6日(月・祝):森ノ宮ピロティホール

原作を1ミリも知らない状態での観劇

これは原作ファンからしたら怒られてしまうかもしれないけれど、結局PSYCHO-PASSの原作を全く知らないまま視聴を迎えた。アニメを観ておきたかったんだけど時間がなかった……。でもポジティブに考えるならば、1ミリも予備知識をもたずにいきなり舞台を観るのもアリなんじゃないかと思って(超言い訳)。

最近、原作や小説を見た上での観劇をすることに若干の疑問があったので、今回はわざとミリしらで臨みました。そういう人種である意味PPVVを本当に楽しめたんじゃないかなと思った。ただ全力で「こういうものなんだー!」と受け止めるという体験ができるのもイイネという話です。

前半(特に最初の方)は三係はわちゃわちゃしていて仲良しな雰囲気だったけれど、話が進むにつれて、それぞれ監視官や執行官になった過去や理由が浮き彫りになる。わたしは役の間柄も分からなかったから主人公と蘭具さんは立場が違うのか?それとも対立しているのか?(同じチームだということすら知らなかった)と思っていたけれど、ミリしらな人種でも舞台を観ていれば設定が分かるのが有り難かったしすごいなと思った。

どこからどこまでがオリキャスなのか分からなくて、最後の最後に「三係は全員オリキャスだった……?」と気付いた(何も知らなさすぎる)。そうか、三係はアニメにはいないんだな……舞台にしか存在しないのか……エモさ大爆発じゃないか……

魅力的なオリジナルキャスト

とにかく登場人物がみんな好き。最初こそ多和田くん目当てだったけれど、観終わる頃には蘭具さんだけでなくみんな好きになっていて……キャラクターが魅力的すぎて愛着がわきまくった。

九泉晴人

神経質で短気でピリピリしてるのに、危うさというか儚げな脆さもあって、なんというか美しい。脆く儚いがゆえの美しさがあって震えた。

九泉の叫びが…すごかった……。すごい絶望感。もう一回聞きてえ~~~~(DVDを買います)。

嘉納火炉

優しいエリートスマート爽やかお兄さんだと思っていたのに!それこそ目白さんを撃ったあたりから嘉納の目が虚ろで感情がなくて、ああ〜ハイライトが消えてる〜〜ってしんどかった。元は潜在犯、からの執行官、からの監視官。執行官の希望。と言われていたのに、シビュラによる実験体だった。うううううわああああ

あの優しいお兄さん感。それに加えてあの顔の良さ。最高すぎない?

PPVVと全然関係ないんだけど、高橋一生のために観ていた「僕らは奇跡でできている」の育実(榮倉奈々)の恋人役の人が「クッソイケメンだな」って思ってたんだけどそれがわだっくまさんだったって気付いて衝撃

蘭具雪也

まあとにかく蘭具さんが好きだよね。推しだしね。オタクっぷりが最高。多和田くん本人は陽のオタクだけど、蘭具さんはまさに隠のオタク。独特の喋り方。早口。本当に嫌なときは声が大きくなっちゃうやつ。あと外回りのときにデカリュックを背負っていて、リュックな!!!それな!!!!

多和田くんは「今の発言や仕草は『オタクっぽい』と発見してもらえるような役づくりをしたい」と言っていて、ほんまそれ。オタクになってたよ最高……ってなった。そもそも一人称が「僕」の時点で100点なんですけどね。「気持ち悪ぅ」とか「変態の仕業ですね」とか良い台詞が多いのもポイント高いです!!!←

長い御御足での技がしゅき……ってなった。自分の見せ方を分かっている。井口先輩こと中村靖日さんもインスタで「長身で長い手足から繰り広げられるアクションが美しくて哀しくて。」と言ってくれた。

井口匡一郎

ポゥ!が井口先輩のものだったとやっと知った大千秋楽。わたしは先日の「RIDER TIME 仮面ライダーシノビ」から「ぽ」は全て「POW!」に変換される病にかかっていますが(嘘)、今回は井口先輩のものだったようです……

最初は「ものすごいキャラだ」と思ったけど、井口先輩の雰囲気好きだった。元気になるよねえ。最期あんな風になるとは思っていなくて相当しんどかった!!SNSの投稿が面白くて好き。

相田康生

なんかも~~~~この子もしんどい。生まれたときから潜在犯の烙印を押されてしまって……しんどい。アクションは一番オラついてたのが良きだった。

大城奏人

ゴーカイシルバーやないか!!!!!!!!鎧!!嘉納さんに懐いていたのが本当に可愛かったよね……。元気な弟分100点満点。嘉納さんと大城の関係はエモすぎて何も言えない。10月にDVDが届いたらたっぷりと観ます。

後藤田希世

悪いまちしょま最高だったな……。開演前にPPVVの役作りでブリーチしたのは知っていたけど、銀髪?金髪?サイコーに似合ってるでしょ。グラファイトのときとは全然違うし、このまちしょまは心に響くビジュアルだった。しかし最期まで三島のことを裏切らなかったな。

このまちしょまが可愛い。光臣さん……笑

三島慎吾

わたしの中では光臣さんはいつまでもチーフ1)轟轟戦隊ボウケンジャーの登場人物なので、チーフがヒゲで茶髪で悪い子になってしまった……と思ってしまった。

ヒューマニストは自由を求めシビュラシステムの支配からの脱却を目指していたが、ヒューマニストの定義する「自由」の思想は、自身の親や祖父母世代から受け継がれ幼少期から刷り込まれたものであり、それこそ「自由意思」ではなく「外部からの支配」のもとに生まれた思想であるのがかなり皮肉が効いているよね。

目白一歩

なんかすごい良い人だったじゃん……だから撃たれたのが相当ショッキングだった。その直前の会話で「パートナー」「養子」とかのワードが出ていて気になっていたけど、同性愛者だったのね。

銀之丞さんはわたし的には「ラッキー2)宇宙戦隊キュウレンジャーの父親」あるいは「タッチパッチさん3)「おかあさんといっしょ」人形劇のキャラクターのイメージだったから、また新たな銀之丞さんが観られたわ……

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とにかくスーツが良い

スーツが良かった。好きなやつ!!各々の着こなしに個性があるのも良いよね。脱いだり着たり、作業着?上着を着たり。オーダーメイドのジャストフィットなスーツ姿×スタイリッシュな演出×アクション×顔が良い×絶望って、好きな要素しかないな?好きになるべくして好きになったとしか……

あと出演者がSNSにアップしてくれる衣装での写真を見ると、各々のスーツの詳細(生地とか型とか)がよく見えるのが有難すぎて。ベストとか、タイピンとか、見せてくれてありがとう……。蘭具さんのスーツ最高……。青のギンガムチェックのYシャツ?ハァ?好きだけど???????こんなにスーツ好きに刺さる多和田くんの役は今後あるのだろうかと不安になるほど蘭具さんが好みすぎる。

よく見たら、ビジュアル解禁のときの衣装と実際の衣装は違うんだね。ネクタイの色とかシャツとか。蘭具さんのジャケットも無地だし。しかもビジュ解禁のときのスーツ、チェンジポケットだったけど実際の衣装は2つポケットだったし。

アクションが多い

内容的に、とにかくアクション・バトルシーンが多くて、アクション大好きマンとしてはうっとりしながら観てました。みんな身のこなしが素敵。繰り出すパンチが綺麗。あと個人的に好きだったのは各々口が悪いこと!←

「オラァ!」とか「クソが!」とか言いながら戦ってて、うんうん!そうだよね!攻撃してくる奴はクソったれがと思うし口にも出ちゃうよね!それそれ!って思った。戦闘に品性はなくてもいい。あったら嬉しいけどなくてもいい。そういう意味では蘭具さんのアクションは品性というか、丁寧さ(?)というか、荒々しくはないけれどもきっちり決めていく良さがあった。大城や相田の猟犬さながら闘争心むき出しのゴリゴリなファイトもすごく好きだったし、九泉の荒々しさと監視官としてのプライドが混ざった拳も好きだったし、嘉納の効率化を突き詰めた優等生な技も好き。井口さんは……笑

蘭具さんはオタクだから戦闘は大丈夫なんだろうかと心配していたけれど「僕結構強いんですよ、知らなかったんですか?」と戦闘に混ざっていて……しゅき……

↓わたしが大好きな「僕結構強いんですよ、知らなかったんですか?」はこのゲネプロダイジェストに載っています!ありがとうございます!!こっちはアップ。

↓こちらは全体を観ることができます!この台詞の後の足ギロチンも好きなんだけど、↓の動画は蘭具さんの綺麗な回し蹴りから映してくれている……大変ありがとうございます……

ああ~、蘭具さん、オタクだけどちゃんと強かったなあ。一所懸命訓練したんだろうなあ。ああ~~~~

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好きな演出がありすぎる

キャスト紹介のオープニング、めっちゃかっこよかった。スタイリッシュすぎた。こんなに惹き込まれるオープニングもなかなかない。プロジェクションマッピング?との融合がすごい。この演出はさまざまなところに使われていて、撃たれたときの血飛沫とかうわぁすごっ(語彙力)と思った。舞台でこんなに生々しいバトルを観たのは初めてだったよ。

キャストの客席降りがあるんだ!と思って気付いた。先にヒューマニストがわらわらと客席に降りていた演出。あの会場自体がライブハウスだったんだ、と。あの観客たちは、ライブハウスにいる客になり、人質になり、三係に助けられた。あの世界に生きることができたのを心底うらやましかったー。

特撮ショーでもよくあるけど、観客も舞台演出のひとつであり、その世界に生きる者になれる。好きなんだよなあ。

笑うところは笑えたし、見せ場は息を飲んで魅入った。自分の呼吸すら邪魔なので口を手で塞いでいた。普通に生きてて自分の呼吸音が邪魔な瞬間なんてある?そうそうないよ???

間の取り方がすごく好きだった。緊張感の走る絶妙な間合い。誰かが喋っているのを遮って問題が起こる展開が好きなので、井口先輩や三島の台詞を遮って銃弾が飛んできたときは鳥肌がたった。

エグい描写

まあバトルが好きとかぬかしてますけど、この舞台は相当なレベルの描写だったなあ。

変な話だけど、わたしが舞台に目覚めたきっかけは推しが出ている「TRUMP」という舞台で、これがかなりのエグい表現というか死ぬというか死なない人いるの?って感じの話で、それがわたしの中のベースにして最大の絶望した話だから、PPVVみたいにエグめの描写があっても楽しめた(というのは語弊がある。蘭具さんの最期はやっぱり泣いたし精神的に詰められたのは間違いない)。耐性がない人は相当なトラウマになるんじゃないか?推しがひどい死に方をする役なんて。

三係は警棒を使っていて、ああ血は出なくて済むのかしらと思っていたけれどそんなことはなかった!拳銃もさることながら刃物がね!切れるのが!キツイ!!いてえ!!ってのたうち回ってるのが!キツイ!!!痛みで唸る推しなんてそうそう観られませんよ?←

「わりと大丈夫」と思っていた自分でさえ、4日経っても壊滅エンドを引き摺っているから、やっぱり大丈夫じゃなかったな。

和田琢磨&多和田任益が「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」で撃ち抜く人間の本質とは?

このインタビューで多和田くんが俳優の仕事について

「自分とは別人になれることに快感を覚えます」

と言っていたのを思い出して、まさにこんな壮絶な人生は送らないよなあと思ったし、こんな人生を演じることができる俳優さんは本当にすごいと思った。こんなクリエイティブなことはわたしにはできない。そういう尊敬が「俳優推し」に繋がるんだよなあとしみじみ思う。というかこの記事を読んで多和田好きが加速した位良いことが書いてあるし、わだっくまさんとの対談なのでテニミュにふれてくれてニヤニヤした。わだっくまさんの6代目手塚、初めて見たときはまじでヤベエ超手塚そのものじゃんイケメンすぎると混乱した。それまでで一番手塚だと思った。まあその後7代目手塚を好きになるわけですけど

敵も味方も一瞬であっけなく死ぬ感じを舞台で感じるのが初めてだったので、これはトラウマもんですわ。

人工監視官

なぜ人工監視官を創る実験が行われていたのかと考える。単純に人手が足りないのかもしれないけど、もし人工的に(シビュラの意志で)監視官たる人財を生み出せるようになったら、それこそ「ドローンにドミネーターを搭載すればいいのにやらない理由」がなくなる、のかなあ。

嘉納が人工監視官を創る計画に気付いた後に行動を取ることまでシビュラは予測していた。つまり「人工監視官は創ることができるのか」に加えて「人工監視官が自身の秘密を知ったらどんな行動を取るのか」「自身が人工監視官だと知っても機能できるかどうか」までが実験の範囲内だった。

実験は失敗した。この結果を「人工監視官は創ることができない」と捉えるのか「この方法では人工監視官を創るのは難しい(から他の方法を試す)」のかは分からないけれど、人工監視官を創る方法を2パターン用意している時点で、九泉や嘉納のパターンじゃない方法もたくさんあるんだろうなあ。

今回の事件の担当が二係から三係に変わったのは、シビュラが「九泉晴人が適任であるから」と判断したから、とのことだったけれど、それは九泉が解決の糸口を見つけるとかではなく、実験体である九泉と嘉納がいるからだったんだよなあ。

本物と偽物

話中でいくつかの偽物が出てくる。3Dプリンタで作ったカフスボタン、ホログラムでできた海、そして人口的に創られた監視官。井口先輩はカフスボタンが本物でなくても、それを選んだ自分の審美眼が美しいと言った。相田は「ホログラムの海じゃ駄目なんだ」と本物に拘った。九泉はそれに「海は海だろ」と返した。本物でないと意味がない、本物でなくても意味がある、どちらが正解かということはなく、どちらかしか正解ということでもない。

井口先輩のカフスボタンの話は爆弾解除方法の伏線になっていて、そのときは「前半のじゃれ合いが伏線!?すごい!」と思ったけれど、もっと後になって人工監視官の話のときに井口先輩の言葉を思い出して苦しくなった。本物じゃなくても選ばれるものはあるし、それは本物にはできない輝きかもしれない。嘉納さんだって、本物の監視官じゃなくても、三係のみんなが認めてくれればそれでいいんじゃないか?

とは言っても、駄目なんだよね。嘉納は潜在犯からの執行官、からの監視官という異例の大出世をしてエリートコースに乗り、「執行官の希望」とまで言われた今までの自分が偽物だったなんて知ったら、駄目になっちゃうよなあ。

あの井口先輩の台詞って、九泉と嘉納は聞いてたんだっけ?もし聞いていたとしたら、自分が偽物の監視官だと知った後でも少しは救いになるんじゃないか。

執行官の責務

蘭具さんと相田が九泉を庇ったのは、もちろん彼らの信頼関係からくる行動だけど、どうしても「執行官は自分の命を懸けてでも監視官を守るべきだと考えている」と思ってしまう。それが蘭具さんの「必要とされて死にたい(みたいな台詞)」に繋がるのかなあと。監視官は能力も知性もあるエリートで、更に人手不足。執行官も能力があるからこそなれるものだけれど、元は潜在犯で、人数もいる。

「元潜在犯だったところを拾ってもらえたのだからこの命を公安のために!」と思っているわけではなくても、心のどこかで「執行官の命<監視官の命」だと、執行官自身が思っているのではないかと感じてしまう。もちろん監視官の2人も戦闘しているけれど、本当に前線に出ているのは執行官に見えた。戦闘専門、護衛係、そんな風に見えた。猟犬と呼ばれるのもそういう意味かなと。飼い主が指示を出し、猟犬が実行する。

で、ここまで考えてしんどいのは、シビュラ的には三係は全員「替えがきく潜在犯」だってこと。監視官である九泉と嘉納でさえ使い捨てなんだから。蘭具さんと相田が身を呈して守った「価値のある監視官」は、シビュラからしたら貴重でも何でもない、ただの実験体。

蘭具さん、井口先輩、相田は自分たちがシビュラによる人体実験に巻き込まれたことすら知らずに命を落としたのしんどいなあ。

蘭具さんはこの一連の事件および実験に巻き込まれなければ死ななかったのに、と思ってしまうけれども、執行官という仕事をしている以上は常に命の危機に晒されているのであって、いつ殉職してもおかしくないような環境下に身を置いているのは彼も分かっているだろうし、九泉監視官と出会わなければ、配属が三係でなければ……という思考に陥りそうだけど、そうではないんだよな、九泉に出会わなければよかったとは蘭具さんは思っていないだろうし、九泉を守るために自らの意志で盾になったことで自分の人生を全うできたのかもしれないし、それが「必要とされた」「役に立った」と思えたのかもしれない。いや盾になって「役に立ってよかった」とかそんな自己犠牲イクナイけどね!

監視官と執行官の違いすら知らないまま臨んだPPVVだったけど、この2つの役職の裏にある確執を、人間関係を絡めて話の中で説明されていて素直に「なるほど……」となった。

蘭具さんの最期

足を撃たれたあたりで(いやもはや井口先輩が死んだ時点で)イヤな予感はしていたけれど。後半にかけて執行官は全滅、監視官の2人は相討ちと解釈しました。

蘭具さんの最期のシーン、思い出すだけで鼻の奥がツーンとする。舞台で推しが死ぬというのはなかなかない。昔は「ワイは死神か?」ってくらい推しキャラは亡くなっていたし、特撮作品でも半分くらいの確率で推しキャラが死ぬ。推しキャラの死はいつになっても誰であっても慣れないし悲しい。ただ、まさに目の前で、推しを亡くすという経験は、なんというか、衝撃的すぎて、そもそも舞台で役が予想外に死ぬというのが初めてで(井口先輩)、え……さっきまで動いていた役が目の前で突然……という衝撃がすごかった。最近は現代風の舞台が多かったのもあるし、アクション系とか観てなかったな。バトルの末に推しが死ぬ。ああ、戦闘があるということは、必ずしも生きて残れるわけではないんだよな、というのを痛感した。

最近舞台で死んだ推し(不穏な話題)は「GOD’S AND DEATH」の林太郎なんだけど、あれはかなり引っ張って語った末に抽象的な死だったので、悲しみのピークは「死の瞬間」ではなく、そこに至る経緯、最期に林太郎が思ったこと、だったんだけど、蘭具さんは「え?死ぬの?本当に?まだ生きる可能性はあるんじゃない?え?嘘でしょ?」の最中の死だったから、もうとにかく相田と共に伏したときの衝撃がすごくて。こんな経験はなかなかできないのでは……

何がきついって、井口先輩も蘭具さんも相田も、アンサンブルのヒューマニストに致命傷を負わされたり追い詰められたりするのがきつい。数の暴力がきつい。観ているこちらが途中で「いやこれ、勝ち目がないのでは……」と諦めてしまいそうになるのがきつい。

先日こまっちゃんが「舞台の振り返りブログをやめる」と宣言したのを思い出して、蘭具さんの想いを観ていたわたしは、全てを受信しきれたかは分からないけれど、蘭具さんの生き様は刻まれたし、これからも忘れられない。

舞台上にしか存在しないキャラクターが好きになるって苦しいな?舞台の2時間しか存在しなくて、さらにその2時間の中で命を落とす。もう蘭具さんの人生は今後展開されることもないし過去にスポットライトが当たることもない。その後の人生を想像することすら叶わない。つらい。もっと充実した人生を送ってほしかった。他人の人生観に口出しする権利はないし、最期には報われたのかもしれないけれど、もっとこう、楽しく生きてほしかったなあと思わずにはいられない。どんな漫画を描くのか分からないしその仕事が好きだったのかさえ分からないけれど、自分の望む仕事をしてほしかった。潜在犯落ち。外部からの影響で色相が濁り「普通の人間」でなくなってしまった人はどれだけいるのだろう。

視聴直後は「推しが死んだ……」だったけど、今は遺族の気持ちで「推しが生きた」と思えるようになりました。蘭具さんは生きたんです!生き切ったんです!!蘭具さんが、撤退せずに九泉監視官を守るという道を、自分の意志で選んだのなら、わたしはそれで納得します。

良質な絶望

PPVVを観て数日経つのに、全然立ち直れないままで。やるせない思いや悔しさ、苦しみがずっと心の中で燻り続けている。しんどい。でも逆に、こんなにも心に残って悩み反芻し続けられる話に出会えたことはすごいことだと思うの。まさに良質な絶望を摂取したという感じがする。

このPPVVしかり、TRUMPシリーズしかり、胃がキリキリして胸が締め付けられるような絶望中の絶望みたいな話が好きなんだなと思う。苦しいんだけど、こんなにも考察できる、キャラクターも愛せる、すごいコンテンツですわ。

前に「僕のド・るーク」でも思ったけれど、人が絶望している姿とか、激昂している表情とか、わたしの普段の生活では到底見られないような人の姿を見せてくれるお芝居が、とても貴重だし有難いと思うんだよね。絶望、怒りの表情にとても魅力を感じる。もちろん本当に怒られたいわけではないし怒らせたくもない。なのにこの表情に惹かれるのはなんなんだろうな。後半のみんなの絶望、死、激昂、DVDにてガン見させてもらいます……

向こうでもわちゃわちゃやっているのかなと思えるエンドだったのが救い。三係で裏切りや嘘や色々あったけれど、それでも仲間として楽しく過ごしているのかなあと思うと嬉しかったし、その輪の中に目白さんも入ろうとしている描写があって、目白さんは嘉納にひどいことをされたけれど、それまでの絆があって、仲間だと思い続けてくれたのかなと考えると泣きそうになる。

人間らしさとは何か

この命題、難解すぎる。わたしはこの問いについて考えたいのですが、PPVVロス&ショックから脳が立ち直っていないので、これからゆっくりかみ砕いて考えます。これ以外も九泉の「潜在犯は犯罪者ではない」という発言、哲学的ゾンビ、ユートピアのようなディストピア……書ききれないし考えきれない。早くDVDが欲しいです!!!

SNSがとにかくエモい

サイコパス稽古中~公演期間のTwitterやInstagramの投稿がエモい。とにかくエモい。内容を知ってから読むと尚更エモい。しんどい。わたしは最終日に視聴したので、舞台視聴後の興奮状態のまま各キャストのSNSを読み直して、ああ~~~~(撃沈)となった。

意味深なことを言っていたり、ニコニコ笑顔で2ショットや複数ショットを撮っていたり。嘘つき!この後全員死ぬのに!でも最後まで全くネタバレもされず匂わせもないのを保ちつつのキャストのオフショットってすごいな。いや……みんなあんなに笑顔ですけど……死……蘭具さんめっちゃニコニコですけど……結構なレベルのオタクだったし、死ぬし……。蘭具さん、役では隠キャというか奥手みたいな感じなのにオフショは笑顔満開というギャップに苦しんだ。後から。

この蘭具さんがドチャクソに顔が良い。

この当時は「拡樹さんの表情がちゃんと九泉監視官だ!笑」ってどういうこっちゃと思っていたけど……

初めての大千秋楽

わたしは特定の俳優を推し始めてから舞台に足を運ぶようになり、まあそれなりの数を観てきたんですけど、千秋楽というのを間近で観たことがありませんでした。

皮肉なものですが、今回ライブビューイングという観劇方法を取ったがゆえに、初めて大千秋楽というのを観ることができました。大千秋楽に向かうみんなのやる気とか、カテコでのやり切った表情、もう明日からPSYCHO-PASSはやらないんだという寂しさ、一瞬で終わってしまう舞台というエンターテイメントの儚さなんかを感じることができました。

ライビュの感想

自分の備忘録として、初めてのライビュの感想

<良かった点>

  • 顔のアップが拝める
  • 運営オススメのカメラワークで観られる
  • ライビュ特典映像があった

<舞台の方が良い点>

  • 常に推しを追いかけられるわけではない
  • コンタクトをしているのに若干目が悪いので、スクリーンの顔アップを見るよりも現場でオペラグラスを覗いた方がはっきり見える
  • 寄りのカットでは運営オススメのカットでしか見られない(端のわちゃわちゃや小ネタが見られない)
  • 客層(本当にたまたまかもしれないけれど、真後ろの席の2人組の会話でネタバレされそうになるわ上映中に2つ隣の人の携帯電話が鳴るわでどうした……と思った)

ライビュのコマ割りは良かったと思うけど、蘭具さんが九泉を庇うために駆け寄った瞬間が見られなかったので、蘭具さんがいきなり撃たれたように見えてショッキングだった。

つーか新宿バルト9のライビュで携帯電話鳴らした人、許さないからな……。バイブレーションじゃないんだよ?音が鳴ったんだよ。上映前に「マナーモードではなく電源から切ってください」って言われてるのに電源を切らないどころかマナーモードにすらしていない。マナー!というか民度。

アニメを早く観たいです[PR]

アニメを先に観ていたら分かること、解決できる疑問があるんだろうなあ。早く観ないと。一係の裏に三係を感じて泣きそうですが。きっと用語も各キャラの言動の意味も深く理解できると思う。そもそもシビュラって何だ?正体は何だ?裏があるのか?とか疑問がめちゃあるからね。あとこの世界の常識をまだ理解できていない気がする。アニメで勉強するべき!!

とりあえずアニメPSYCHO-PASSが観られる動画配信サービスは、

らしい。アマプラはレンタル。とりあえずFODで観ようかなあ。唯一劇場版も配信しているみたいだし、1ヶ月間無料だし!

まとめ

後半はしんどくて泣いてばかりだったけれど、明日からまた仕事も推し事も頑張ろうと思える、活力をもらえました。本当にありがとうございます。これからも推し事頑張るしお金をたくさん落としたいと思える舞台でした(これ重要)。

最近は観劇しても身が入らないこともあり「わたしは舞台鑑賞に向いていないのかもしれない」と悩んでいたけれど、このPPVVは本当に面白いと感じたし楽しめた。たぶん、こういうSF要素や非現実的要素(設定もそうだし、バトル自体もわたしにとっては非現実)が含まれるテーマが向いているんだと思う。アクションめっちゃ燃えたし。

観劇後にこんなに「お金を落としたい」と思えた作品は初めてだったかもしれない。それくらいに良いと思った。能動的にDVDを買いたいと思うことは実はそんなに多くない。でもPPVVは、どうしてもまた観たい。何回も観たい。蘭具さんに会わせてくれ……

役を見れば見る程、ファンの方の感想を読めば読む程「ここのこういう振る舞いは、こういう役作りなのかも」「この演出はこういうことの暗喩なのかも」と気付かされたり考察したりできる、とても観る価値のある、何度も観たいと思えるお芝居だった。

この作品への入り口は多和田くんだったけれど、蘭具さんだけでなく、キャストみんなを好きになった、愛着のわいた作品になりました。本当にありがとうございます。

脚注   [ + ]

1. 轟轟戦隊ボウケンジャーの登場人物
2. 宇宙戦隊キュウレンジャー
3. 「おかあさんといっしょ」人形劇のキャラクター

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